スポーツ庁 Sports in Life推進プロジェクトの研究成果の一部が日本臨床スポーツ医学会学術集会でされました!
2025年11月2日(日)、3日(月)、幕張メッセ国際会議場で開催された第36回日本臨床スポーツ医学会学術集会にて、松幸農産と大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室が進めている共同研究の成果が発表されました。
演題名は、「農業就労者の定量的身体活動計測とその意義:稲作の作業別評価」。本研究は、大規模農業法人に勤める農業事業者に対して、繁忙期(田植え期)の就労中の身体活動特性について発表されました。身体活動量の時間的変動と勤務内容の違いによって、身体的負荷の特性が異なり、稲作の田植えでは、低強度活動が長時間持続し、中高強度の身体活動強度も含まれる活動特性があることが明らかになりました。学会発表では、学会参加者から、なかなか報告の無い貴重な調査研究であり、大変興味深いというコメントを多数頂いたと報告を受けました。
世界的にみても、農業事業者に対する身体活動の研究は、アンケートによる調査がほとんどで、加速度センサを用いて行われた研究は希少です。さらに、身体活動量だけでなく、心理的指標を併せて調査しているため、身体活動特性とライフパフォーマンスとの関連性をより探索することが可能となります。今後、繁忙期、閑散期の身体活動特性の違いや身体活動量に対する心理状態の変化など、様々な視点から検討される予定です。
周知のとおり、農業は、大変多くの課題を抱えています。農業では、「時間外労働」の概念がなく、労働基準法の休憩・休日規定が適用されません。「閑散期に休養できる」、「自由に休憩を取れる」とされているが、実際は繁忙期の労働負荷はとても大きい。中腰での長時間作業、暑熱・寒冷環境下での屋外作業など、身体的・体力的に過酷な労働も多く、体力的・健康上の問題が離農の要因となっています。しかし、農作業は、身体活動の低下防止・精神的安定・社会参加の促進につながり、趣味や楽しみとしての予防的効果などのポジティブな側面があることが報告されつつあります。本研究を通して、農業と健康とのつながりが明らかになることで、農業業界における社会的な課題を打破する一助になることが期待されます。
本研究の概要は、以下になります。
第36回日本臨床スポーツ医学会学術集会
発表者:依田 佳余1、長谷川 凌佑2、中田 研1
1. 大阪大学大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座スポーツ医学教室
2. 大阪大学健康スポーツ科学教育研究環
本研究の目的は、農作業に従事する人の就労中の身体活動量の実態を明らかにし、勤労者の心身の健康や仕事のやりがい・ストレス等のライフパフォーマンスとの関連を探ることである。
農業法人に従事する成人15名(男性12名、女性3名)を対象に、田植え期の身体活動量を加速度センサー(HJA-750C, OMRON社製)を用いて14日間測定した。
活動量の時間的変動と勤務内容の違いにより、身体的特性が表れていることが明らかとなった。


圃場管理、より取り、水入れ作業などの移動を伴う作業では、歩数・METsともに高く、
3METs以上の中高強度活動が10〜20分継続していた。一方、代掻きや田植えなどの機械作業は歩数が少ないが、最大Metsは5.4〜5.7と中強度に達し、3METs未満の低強度活動は最長約160分継続していた。
今後は、身体活動量の継続的評価に加え、メンタルヘルスや仕事のやりがいなどライフパフォーマンスとの関連を検討する予定である。
